日本のヨガブームの歴史と広がり続けるムーブメント

日本のヨガブーム

ヨガを初めて行った人物

日本で初めてヨガを行い、教えを説き始めたのは1919年に天風会を創設し心身統一法を説いた中村天風です。結核を患った天風は病を治すために世界を旅してる中、インドの山中でヨガの聖者、カリアッパに出会い修行を積み悟りを開きました。心身統一法は、人間の思考を自然と調和させることで人間本来の人間の力、潜在能力を引き出し心身ともに幸福で幸福になることのできる実践的方法とされています。

日本で広まったのはいつからか?

もともと平安時代に瑜伽(ゆが)と呼ばれ瞑想を中心に行われていました。1970年に綿本昇によってエクササイズ的な見せ方と美で健康促進的要素を盛り込んだヨガを求めて多くの人がカルチャーセンターなどの教室に通い始めました。また1980年代に健康法としてフィットネス界にヨガが進出し、健康と美容のためのヨガが前世代に浸透しました。1990年代前半までに若い女性を中心にファッショナブルなスポーツとして人々の生活に根付いていったのです。

第一次ヨガブーム

ヨガ ビジネスマン

発起人の沖正弘

1919年に生まれた沖正弘は幼少の頃より多くの病を抱え後のヨガ実践行にて自他の生命がともに救われる沖ヨガを創造し世界20ヶ国以上で普及活動を展開しました。青年時、軍の特務機関員として、蒙古、インド、中国、アラビアに赴き東西の医療を習得。宗教面でもイスラム教、ラマ教、道教、仏教、キリスト教の寺院や修道院でも修行経験を持ち1942年にはガンジーとも出会い、日本で最初のヨガ研修会を設立しました。晩年には「全生命はすくわれねばならない、また必ず救われる」との悟りと信心から、全生命救済活動の一環として1980年には国際総合ヨガ世界大会を開催、また1984年には国際セミナー「ライフエンカウンター(生命との出会い)」を開催し世界20ヶ国からの参加者を得て、国際的に指導者を養成しました。

沖ヨガ

沖ヨガとは、日本におけるヨガの指導者である沖正弘が古典的なインドヨガに東西の様々な宗教や修行法、日本の伝統文化、武道、民間療法、東洋医学などを組み合わされ、世界のどこに行っても通用するものとしてまとめられました。沖ヨガはその特徴から求道ヨガ、生活ヨガ、総合ヨガとも呼ばれていました。心、身、食、生活、環境のすべてを改善し心身のバランスを回復するヨガです。ルーツには、一人一人の心の中に平和心を生まなければ真の平和な世界は来ない、政治的・武力的な均衡での平和は真実のものではないという彼の考えがあります。

なぜ衰退したのか

1980年代、1990年代オウム真理教という宗教団体がありました。麻原彰晃を教祖とする仏教系の団体です。世界で初めて化学兵器サリンを使って大量虐殺を行い世界中を震撼させました。この団体がヨガ哲学の語彙を団内で使っていたことでヨガを敬遠する人が増えていきました。

オウム心理教が瞑想をしていたことによる悪いイメージがついた

また麻原は弟子に瞑想をさせていました。仏典やヨガ教典にのった記述を体現しそれを著作や説法で細かく説きました。ヨガに使われる語彙、ヨガで行われる瞑想を大事件を起こした宗教団体が使っていたことで、ヨガに悪いイメージがついてしまいました。

第2次ヨガブーム

ヨガ 夕日

ハリウッドセレブから流行

インドでヨガを勉強していたアメリカ人によって「ハリウッドヨーガ」が生まれました。これをアメリカのスーパーモデルや女優がプロポーション維持のために生活に取り入れ始めたことで他の人も影響されどんどんヨガ人口が増えていきました。ハリウッドヨーガは、従来の瞑想や呼吸法中心のヨガに加え筋力アップやエクササイズの要素を加えたものを言います。

日本への普及

日本には日本ヨガ総合普及協会があります。ヨガを通じて幼児から高齢者まで幅広い階層に対して病気の予防と健康の促進、精神安定支援、指導者の資質向上と育成を図ることを目的として活動しています。ヨガブームの中、断片的な知識だけで適切な情報や指導が行き届いていない現状もあります。専門的な知識なしにすると危険なためこれは非常に重要です。

今なお広がり続けるヨガブーム

今や世界各地で大人気のヨガ。もちろん日本でも連日ポージングを取り汗を流す人が多い。しかしやってはみたいが忙しさなどで教室に通えず断念する人もいます。そんな人向けにいま様々なサービスが生み出されています。自宅がレッスン場となる「Roots of Life」はや家事などで忙しい女性にぴったりのプログラム。女性と子供に特化したヨガプログラムを提供するベビーヨガアソシエイトとスマートフォンやパソコンでスポーツレッスンを受講できるプラットフォームを開発したスマートコーチが手を組んだこのオンラインプログラムでは24時間好きな時に自宅でレッスンが受けられます。
また最近では男性向けのヨガ教室が開講されています。女性ばかりで気が引けるとヨガを敬遠していた男性もこれなら大丈夫でしょう。大阪では生活ヨガ研究所が開催するものがありレッスン開始は19時半。90分のなかで柔軟運動にヨガのポーズ、ヨガの教えに瞑想と内容も豊富です。東京でもスタジオヨギー新宿westで男性限定クラスが始まりました。
オンラインサービス、男性向け教室の開講でさらにヨガ人口は増えていくでしょう。

日本の著名人、アスリートもヨガを

サッカー日本代表の長友佑都選手が『ヨガ友』と題して代表の宿舎でチームメイトとともにヨガに取り組みなど広がりを見せています。ヨガで体幹の安定や柔軟性のアップ、休息の質などを高め競技のパフォーマン向上を図るのです。また女優の篠原涼子さんやモデルの長谷川潤さんもヨガにはまっているようです。スタイルを維持するのにヨガは最適ですからね。

まとめ

日本におけるヨガは一度ブームが起き、そのあと衰退しました。しかし現在再びブームとして多くの人たちに浸透してきています。ヨガ協会やヨガ教室に加えオンラインサービスの誕生は、よりヨガを身近にするものとして普及しています。手軽に始められ、健康に良いヨガ。ますますヨガ人口は増えていくでしょう。

ヨガと密接な関係にある食事療法の驚くべき効果とは

ヨガにおいての食事療法

食卓

ヨガの食事療法とは

ヨガをするうえで食事にも気を配りましょう。ポイントは消化に良いもの、食べ過ぎないことです。ヨガをすることで器官の働きが活発になるため消化に悪い物を摂取したり食べ過ぎたりすると体に負担がかかり腸内に未消化の状態で残ってしまいます。これにより毒素がたまり免疫力の低下、老化などを引き起こします。豆や麦、野菜などを摂取するようにしましょう。ヨガを通して食生活、身体の状態をよく知るようにしていきましょう。

食事のタイミング

ヨガをするには空腹時が良いとされています。そのため食事のタイミングもコントロールする必要があります。ヨガをする直前には食事を取れないため夜にヨガをする場合はその数時間前、または数時間後に食事を取らなければいけません。深夜の食事は体に負担がかかるため避けるのが無難です。早めに食事をして就寝時までのヨガの時間を長く取りましょう。しかし、忙しい現代人にとってこれは難しいことかもしれません。消化の良いものを選んで早く空腹状態を作るのも手です。またヨガをした後は内臓の働きが活発になっており普段以上に食事が吸収される状態になります。野菜や温かいスープなど消化に良いものがベストで水分補給も大事ですが、アルコール類の摂取は避けましょう。

ヨガと組み合わせた時に発揮する食事療法の効果

ヨガで身体に負担をかけずに程よい運動をする。そして消化に良い物を食べる。これにより腸がきれいになり、デトックス効果を引き起こす身体を作ることができます。体内の毒素や老廃物を取り除くことで免疫力が高まり病気にかかりにくくなります。
ニューヨーク発のプログラムで「畑ヨガ」というものがあります。これは心と身体を癒すための、エクササイズと農業体験を組み合わせたプログラムです。自然の中でヨガと農業を楽しみ、ヨガと相性の良い野菜を採れたてそのままで食べられるこのプログラムは近年注目を集めています。元々ヨガには体幹を鍛えたり血流を良くするなど身体的な効果に加え、リラックス効果や集中力を高めるなどの精神的効果をあります。畑ヨガは自然の中でのびのびとヨガを行うことで呼吸が深くなりより高いリフレッシュ効果が得られます。また植え付けや収穫などの農作業を4時間するとジョギング2時間分の運動量になるそうです。そしてヨガ、農業体験を終えた後はお待ちかね、採れたて野菜をいただきます。ヨガをした後は消化に良い物がベストなので、ヨガと野菜は最高の組み合わせと言えます。

ヨガと野菜の密接な関係

野菜 

ヨガ哲学においての食事の考え

インド独立の父、マハトマ・ガンディーの言葉に「アヒンサ」という言葉があります。これは一般的には非暴力という意味ですがインド並びにヨガではかなり広い意味で使われています。行為においてではなく言葉や考えいおいても他を傷つけてはいけないのです。これはベジタリアンへとつながります。動物を殺すことは傷つけることですから肉食は不適切だと見なしています。ヨガをするにあたって、肉類を少しも食べないとする必要はないですが教義的、身体的に見てもやはり野菜が適切なようです。

ヨガとベジタリアンの関係

ヨガに関する書物には「ベジタリアンにすべし」とは書かれていません。しかしヨガをする人にはベジタリアンが多いです。それは肉類は野菜に比べ消化器官への負担が大きいこと。肉類を消化するときにより多くの血液、エネルギーを消費するためヨガをするには効率が悪いということ。そして野菜と肉ではエネルギーのレベルが異なるため体内のエネルギーを一定にするためには野菜だけ食べている方が良いということにあります。さらに屠殺の問題もあります。家畜が殺される時恐怖を感じ、体内にネガティブなエネルギーが蓄積されます。その肉を食べるとネガティブなエネルギーをそのまま食べることになり、精神の安定やリラックス効果を期待するヨガにとっては適切とは言えないのです。

いきなりベジタリアンになると危険

欧米化スタイルに慣れている体で急に肉を絶ちベジタリアンになるのは懸命とは言えません。欧米化スタイルに慣れてしまっている体で極端に食生活を変えると返って体に負担がかかります。ダイエットになるからと言って実行する人がいますがリバウンドを誘発することも多いです。タンパク質不足で体力が無くなり、肌が荒れることもあります。肉、魚を少なめにし野菜の煮物や温野菜、野菜たっぷりのスープなどをメニューに入れ徐々に変えていきましょう。

自分にあった食生活を

急な変化は体へのダメージが大きいです。野菜中心の食生活の中でもたまにはタンパク質を摂取するようにしましょう。肉や魚が好きな人にとって野菜しか食べられないのはストレスがたまると思います。自分にあったメニューを組んでみて下さい。

まとめ

ヨガをすることで心と身体がリフレッシュします。またこれをきっかけに自分の食生活を見つめ直すといい発見があるかもしれません。
何事も極端にするとうまくいかないものです。自分を追い込み過ぎず、しかし締めるところは締める。楽しむところは楽しむ。バランス良く調整してヨガライフを送ってみて下さい。